労働安全衛生法の第1条では、労働安全衛生法の目的について書かれています。
労働安全衛生法 第1条(目的)
この法律は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)と相まつて、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。
解説
労働安全衛生法の目的とは
結論から言うと、労働安全衛生法の目的は以下の二つです。
- 職場における労働者の安全と健康を確保する。
- 快適な職場環境の形成を促進する。
そして、その目的を達成するために、労働安全衛生法第1条では、
- 危害防止基準の確立
- 責任体制の明確化
- 自主的活動の促進の措置を講ずる等
の労働災害の防止に関する総合的計画的な対策を推進すると規定されています。
労働基準法との関係
労働安全衛生法が成立する前は、労働安全衛生の規定は、労働基準法の中に組み込まれていました。
労働安全衛生法は、従来の労働基準法第五章すなわち労働条件の一つである安全及び衛生を形式的に分離独立させたものと、改正前の労働災害防止団体等に関する法律の一部を基本として、技術革新、生産設備の高度化、元請下請労働者の混在作業などに伴う労働災害の防止対策を幅広く展開するための新しい規制事項を加えて作られたものになります。
分離独立したといっても、労働安全衛生の話と、労働基準法に定める賃金、労働時間、休日などの一般労働条件は、密接な関係があります。
このような理由から、労働安全衛生法の第1条の「労働基準法と相まつて」というのは、労働安全衛生法と労働基準法とは一体的な運用を図る必要があることを明確にしたものであると言えます。
労働基準法の第五章(安全及び衛生)が未だに削除されずに、労働基準法第42条で「労働者の安全及び衛生に関しては、労働安全衛生法の定めるところによる。」と規定されたことも、労働安全衛生法が労働基準法と一体の関係にあることを強調することが狙いとなっています。