神学者ラインホールド・ニーバーの祈りで人生を楽に生きられるのか?

神学者ラインホールド・ニーバーの祈りから考える人生を楽に生きる方法 人生のリスクアセスメント

「人生は思うようにいかないなあ」と感じることはありませんか?

そんな時、「自分ではどうにもできないことを、どうにかしようとしていないか?」と自分に聞いてみましょう。多くの人が「自分がどうにかできること」を過大評価しているために、自分ではどうにもできないことに悩んでしまいます。

ニーバーの祈り

アメリカの神学者ラインホールド・ニーバーは、次のように言っています。

”神よ、

変えることのできないものを静穏に受け入れる力を、

変えることのできるものを変える勇気を、

そして、変えることができないものと変えることのできるものを区別する賢さを

我らに与えてください。”

変えることのできないものを静穏に受け入れる力があれば、どんな状態になっても、取り乱したり苦悩したりすることはありません。

変えることのできるものを変える勇気があれば、常に挑戦し続け自分の能力を伸ばし続けることができます。

そして、それらの力を得るためには、変えることができないものと変えることのできるものを区別する賢さが必要になります。

しかし、その賢さは、全知全能の神しか持ち合わせておらず、人は「変えることができないもの」と「変えることができるもの」をはっきり区別することはできません。

100%変えることができるものは存在しない

私は「変えることができないもの」と「変えることができるもの」くらいは、はっきり区別していると思っている人もいるかもしれませんが、それは思い過ごしです。

なぜなら、100%確実に変えることができることなど、この世に存在しないからです。

そのことを、イメージしてもらいたいので、いきなりですが、今から3秒間息を吸って3秒間息を吐いてみてください。

 ・・・

どうでしょうできましたか?

馬鹿にするなという声が聞こえてきそうですが、私は大真面目です。確かに、3秒息を吸って3秒息を吐くというように呼吸のリズムを変えることはとても簡単なことです。やろうと思えば誰でも6秒でできます。

しかし、人生ではこの6秒の間に何が起こるか分かりません。

隕石が突然あなたの頭上にピンポイントで落ちてくるかもしれませんし、宇宙の膨張が突然止まって、この世の全てが消滅するかもしれません。もっと現実なところで言うと、6秒の間に誰かが突然訪ねてきたり電話が鳴ったりして、そちらに意識を取られてしまうと、呼吸のリズムを変えることができなかったということになるでしょう。

今は、極端な例を挙げましたが、これが「6秒の呼吸」ではなく「5分間の筋トレ」ならどうでしょう。さらに、「1時間の読書」ならどうでしょう。もっというと「1年間毎日3時間勉強」ならどうでしょう。後になるにつれて、予想外のイベントにより失敗する確率はどんどん上がっていくでしょう。

さらに今は自分の中で完結する例だけを紹介しましたが、実際に人生において「変えたい」と多くのプレイヤーが願うものは、「年収」や「周りからの評価」など周りのプレイヤーの判断や行動という不確定な要素も絡んできますので、より一層「変えること」に対するハードルは上がります。

このように変える難易度は物事によって異なりますので、100%変えることができることを見つけることは不可能でも、変えられる可能性が高いことは見つけられます。

より変えられる可能性が高いことにのみ注力することが、人生を簡単に攻略するためのカギとなりますが、変えられる可能性が高いことは、どうやって見つければ良いのでしょうか。

変えることができそうかどうかの判断基準

変えられる確率が高いものは、自分の「近い」ところにあるものになります。最寄駅の改札の画面を変えることより、目の前のスマホの画面を変える方が簡単であることは言うまでもないでしょう。

同じように、「心の距離」についても、近い方が変えやすいです。「人」の行動を変えたいと思った時、「自分の行動」を変えるのは比較的簡単ですが、家族や友人の行動を変えることは簡単ではありません。さらに、他人や面識のない有名人などの行動を変えることはさらに困難であると思います。

次に、「作業量」については、当然「少ない」方が変えやすくなります。「本を10000冊」読んだ状態に変えることより、「本を1冊読んだ状態」に変えることの方が簡単であることは言うまでもありませんね。

最後に、「時間」については、少し考え方が特殊です。時間の中でも、直接干渉することができて、今すぐ変えられるのは「今」だけです。「未来」については変えられる可能性はありますが、遠い未来になる程、予測が難しくなるので変えられない可能性は高くなります。そして「過去」のことは1秒前のことであっても、絶対に変えられません。

まとめると次のページの図のようになります。

この基準は私が作ったものですが、様々な事象に応用できます。

好ましい行動を行う難易度を下げて、好ましくない行動を行う難易度を上げるようにするだけで、あらゆる問題を解決することができます。

なぜか、多くの人が、「遠く」にあり「他人」によって左右される「未来」「大きな」夢を掲げることで、人生をベリーハードにして勝手に自滅しています。

人生を楽に生きるためには、「近く」にあり「自分」の力でなし得る「現在」「小さな」行動に集中するだけで良いのです。

人間が思い通りに動かせるのは自分の頭頂から足先まで(一部の臓器などを除く)の極小さな範囲です。

しかし、それをどのように動かすかによって、自分を取り巻く環境や未来は大きく変わります。どうにもできないことを嘆くより、どうにかできる小さなことに意識を向けましょう。

今どこに目を向けるか、手と指をどのように動かすか、どのような表情を作るか、そして何を考え何を話すか、

一人の人間にできることは、その小さな動作の積み重ねですが、それこそが大きなことをなすための唯一にして最良の方法なのです。

このページのまとめ

もし、「人生は思うようにいかないなあ」と感じるならば、「自分の現在の小さな行動」にのみ意識を向けよう。