「また三日坊主で終わってしまった」
「新しく習慣にしようと思ったことが続かない」
そのように思ったことはありませんか?
行動を習慣化するために重要なことはルールを作ることです。いつ・どこで・どのように実践すれば良いのかを予め具体的に決めておかなければ、自分の行動を変えることはできません。
このページでは、有効なルール作りと習慣化の最強スキル「if-thenプランニング」を紹介します。
実践のコツ①シンプルなルール作りを心がける
ルール作りを行う際には、「SIMPLE RULES 「仕事が速い人」はここまでシンプルに考える」(著者:サル,ドナルドとアイゼンハート,キャスリーン、出版社: 三笠書房 )が非常に参考になります。
この本では、ルールはできるだけシンプルな方が上手くいくとして、様々な場面で活躍するシンプルなルールを紹介しており、そのようなルールには、以下の4つの特徴があると紹介しています。
①ルールの数が少ない
②使う人に合わせてカスタマイズできる
③具体的である
④柔軟性がある
それぞれの特徴には以下のようなメリットがあります。
①ルールの数が少ない
ルールの数が少なくて良いことは、覚えやすいというものになります。
例えば、日本のあらゆる法律の中でも、特に短いといわれる元号法の本則は、
“1 元号は、政令で定める。
2 元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。”
というものです。
とても覚えやすいですね。これなら数十年に一度しか使わなくても忘れることはないでしょう。
一方、条文が多い法律で有名なものには民法があります。その条文数は何と1,000以上あります。この民法の他にもたくさんの法律を覚えなければ取得できない弁護士ライセンスが重宝されるはずです。
当然ながら、覚えやすいルールの方が、使いやすいという利点があります。
それでもルールが多い方が良いのではないかと思うプレイヤーには、実質1つのルールだけで、何兆円もの成果を出した投資家界の最強プレイヤーであるウォーレン・バフェットの投資のルールを紹介します。
“ルール その1:絶対に損をするな。
ルール その2:絶対にルール1を忘れるな。”
②使う人に合わせてカスタマイズできる
ルール作り状況やステータスは各プレイヤーによって異なりますので、どのようなルールであれば上手くいくかは人それぞれですが、カスタマイズが簡単であれば誰でも活用できます。
また、カスタマイズが簡単であれば、ルールを使っている間に自分の状況が変わっても、自分の状況に合わせてルールを修正できますので、長く使い続けることができます。
カスタマイズしやすいルールの特徴の一つに、テンプレート(ひな形)が存在するという点が上げられます。
煩雑になりやすく、かつ、何度も変更しないといけないようなルール(会社の就業規則やプログラム言語の記述)には必ずと言っていいほどテンプレートが存在します。
ルールを一から作ろうと思うと大変ですが、テンプレートがあれば、それに内容を当てはめるだけで作成できます。変更するときも形式はそのままで、内容だけ変えるだけです。
③具体的である
ルールは使う場面が具体的でないと結局は役に立ちません。
例えば、「人に優しくする」というルールを立てたとしても、いつ・どこで・誰に・どのように優しくするかよく分かりません。
「どんなときも・誰に対しても・常に慈しみの念を忘れずに行動する」という意味なのかもしれませんが、難易度が高すぎますし、ルールが守れているかどうかも明確に判断できません。
「人に優しくする」という思いは大変素晴らしいものですが、それを実践するためには、より具体的なルールを設定する必要があります。例えば、「毎週土曜日は地域のボランティア活動に参加する」、「毎日妻がやっている皿洗いを代わりにやる」のように具体的なルールであれば、行動に移しやすいでしょう。
④柔軟性がある
使う場面が具体的に限られていても、そのときの状況に応じて活用できれば、実効性を高めることができます。
日常的に使われる多くの法律には、「原則」と「例外」があります。一つのルールに全てを当て嵌めようとすると、ルールを守るのが困難になる場合があります。
例えば、「赤信号なら止まるという」誰もが知ってるルールにも、「人命救助のために救急車が緊急走行しているとき」などには赤信号でも止まらなくても良いという例外があります。
一つのルールを作成したら、そのルールを守れないときを想定して「例外」を定めることでルールを守れないときでも、自分の本意を見失わずに行動することができます。
これらのルールを満たすルールを一から作成することは、かなり大変です。
しかし、次に紹介するスキルを使えば、簡単に有用なシンプルなルール作成できます。
実践のコツ②ルールづくり・習慣化の万能スキルif-thenプランニング
If-Thenプランニングとは、「やり抜く人の9つの習慣 コロンビア大学の成功の科学」(著者:ハイディ・グラント・ハルバーソン、出版社: ディスカヴァー・トゥエンティワン)で紹介される目標設定のための技術です。
if-thenプランニングのやり方はとても簡単で、
「もし◯◯なら、☆☆をする」というようにルールを作るだけです。
※ ◯◯=if:(頻度の高い)行動・状況
☆☆=then:人生に追加したいこと
例えば、「朝起きたら腕立てする。」というように新しいルールを作るというわけです。
このルール設定は、非常に強力です。
なぜなら、if-thenプランニングを作成するときに少し工夫するだけで、先程紹介した「役に立つシンプルなルール」を簡単に作れてしまうからです。
シンプルなif-thenルールとは
先程「役に立つシンプルなルール」の特徴として、以下の4つを挙げました。
①ルールの数が少ない
②使う人に合わせてカスタマイズできる
③具体的である
④柔軟性がある
①「ルールの数が少ない」については作る量を調整すれば良いだけの話です。if-thenルールは簡単に作れて効果もあるので、たくさん作りたくなりますが、新しい行動が習慣化するまでは多くても3つ程度に留めておくことをオススメします。
②「使う人に合わせてカスタマイズできる」については、if-thenルールの得意分野です。
「もし〜なら〜。」というテンプレートがあるので、「〜」を変えるだけで無限大にルールを変えられます。
例えば、「朝起きたら腕立てする。」のタイミングを変えたいなら「仕事から帰ったら腕立てをする。」にすれば良いですし、行動も変えたいなら「仕事から帰ったらスクワット」するというように、自分に合うように何度でもルールをカスタマイズできます。
③「具体的である」についても、if-thenルールの得意分野です。なぜなら、if「もし〜なら」の時点で、ルールを使うタイミングが限定されるので、ifを「もし気が向いたら」のように故意に漠然としたものにしない限りは、嫌でも具体的なルールになります。
④「柔軟性がある」については、少し工夫が必要です。
if-thenプランニングのテンプレートには柔軟性がありませんが、少し手を加えるだけで柔軟性があるものになります。
それはif-thenプランニングにelse:「そうでなければ」を付け加えるということです。
例えば「もし、朝起きたら腕立てをする。」というif-thenプランニングに「そうでなければスクワットをする」というelseを付け加えます。このようにすることで、筋肉痛が胸に残っており腕立てを行うことが難しい状況ならスクワットをするというように柔軟にタスクを変えられるようになります。
このif-thenプランニングを用いて新しい行動を取り入れた場合、習慣化する確率が上がるということがあらゆる心理学の研究で実証されています。
一つ例を上げると、運動を習慣化したいという人を集めた研究では、数週間後に運動の習慣化に成功した被験者の割合は、if-thenプランニングを用いた被験者の91%、それ以外の被験者は31%と、if-thenプランニングを使用するだけで習慣化できる可能性が3倍も上がっていることが分かります。
こんなに簡単なのに効果絶大なif-thenプランニング、ぜひ日常生活に取り入れましょう。