こんにちは、資格マニアのパル子です。今回は、2級ボイラー技士免許試験に出題される「比熱と比エンタルピ」について解説します。
過去問を分析して、特に出題頻度が高いところは太字にしておりますので、重点的に覚えましょう。

働きながら完全独学で様々な国家資格を取得したパル子が資格取得のために必要な知識について、わかりやすく解説します。
熱量と比熱
熱いものと冷たいものを接触させると、熱いものは温度が下がり、冷たいものは温度が上がります。これは熱が熱いものから冷たいものに伝わるからですが、この熱の量を表すものを、熱量と言い、その単位をジュール[J]と言います。
ある物体1kgを1℃上げるのに必要な熱量を比熱といい、単位をkJ/kg・Kと表します。 同じ量の熱を加えても物体によって上がる温度は異なります。
例えば、水の比熱、つまり水1kgを1℃だけ上げるために必要な熱量は4.187kJですが、銅1kgを1℃だけ上げるために必要な熱量は0.379kJであり、加えた熱量が同じであれば、銅の方が10倍以上も多く温度が上がることになります。
気体の比熱の場合、液体や固体の比熱とは違い、次の二つの表し方があるので,注意する必要があります。
一つ目は、圧カ一定で温度1K(1℃)を上げる場合で、定圧比熱といいます。二つ目は、体積一定で温度1K(1℃)上げる場合を定容比熱(定積比熱)といいます。
顕熱、潜熱、比エンタルピ
顕熱と潜熱
物体に熱を加え温度が上昇するように、温度計により目で見て分かる熱量のことを顕熱といいます。
一方で、水が水蒸気になるように、物体の状態が変わる時に加えた熱は、その状態変化に使われて実際の温度に変化を与えません。このような熱を潜熱といいます。
また、潜熱の中でも液体の蒸発に使われる熱を蒸発熱といい、標準大気圧における水の蒸発熱は、水の質量1kgについて2257kJとなっています。
比エンタルピについて
ある物質1kgの顕熱と潜熱を合計した全熱量を比エンタルピ[kJ/kg」といいます。
例えば、20℃の水の比エンタルピは、水1kgを20℃上げる顕熱である20×4.187=83.74[kJ/kg]となります。
また、100℃の飽和水蒸気の比エンタルピは水1kgを100℃上げる顕熱に、蒸発熱を加えた、100×4.187+2257=2675.7[kJ/kg]となります。
見ていただきありがとうございました。
次回の解説
今回の説明に関する過去問はこちら
【問題】標準大気圧の下で、質量1kgの水の温度を1K(1℃)だけ高めるために必要な熱量は約2257kJである。
【解答】誤り。問題の値は4.2kJであり、2257kJは水の蒸発熱の値である。
【問題】質量1kgのある物体の温度を1K(1℃)だけ高めるために必要な熱量を、その物体の潜熱という。
【解答】誤り。潜熱ではなく比熱である。
【問題】水の温度は、沸騰を開始してから全部の水が蒸気になるまで一定である。
【解答】正しい。
【問題】飽和水の比エンタルピは、飽和水1kgの顕熱である。
【解答】正しい。
【問題】飽和蒸気の比エンタルピは、飽和水1kgの気化熱である。
【解答】誤り。飽和蒸気の比エンタルピは、飽和水1kgの比エンタルピに蒸発熱を加えた値である。
このページを動画で見たい方
2級ボイラー技士免許試験の解説一覧はこちら
本気で試験に受かりたい方への1冊
試験突破の最も効率的な方法は過去問を解きまくることです。特に問題数が多く解説も丁寧な以下の過去問集をおすすめします。